2017年9月13日水曜日

<半導体売却>東芝、「日米韓」と覚書…WDも交渉継続

 経営再建中の東芝は、13日午前に取締役会を開き、半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却先について、韓国の半導体大手SKハイニックスが参加する「日米韓連合」と覚書を交わして交渉を本格的に進めることを決議した。有力先として交渉してきた協業先の米半導体大手ウエスタン・デジタル(WD)との溝が埋まらないためで、日米韓連合とWD陣営の両にらみで交渉を進める。

 東芝が上場廃止を避けるためには、来年3月末までに売却を完了して売却資金を調達し、債務超過を解消することが不可欠。売却先を決めた後の各国の独占禁止法審査を来年3月末に間に合わせるため、早期の決着を目指してきたが、WDと折り合えずに9月にずれこんでいた。

 日米韓連合は米ファンドのベインキャピタルが主導しており、SKハイニックスが議決権を持たない形で参加し、東芝本体も一定の出資をする買収案を示している。同連合は、官民ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行が参加する形で6月に優先交渉先に選ばれたが、WDが自社の同意がない東芝メモリの売却に反対して法的措置を講じ、革新機構が係争の解決を求めたため交渉が止まっていた。

 WD陣営は、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、革新機構、日本政策投資銀行などが参加する。独禁法審査を通りやすくするため、WDが当面は議決権を持たないことで一致しているが、四日市工場での協業体制や、将来的にWDの東芝メモリ株の取得をどこまで認めるかなどについて折り合えておらず、日米韓連合が再浮上した。日米韓連合は新たに、WDとの係争を解決できなくても買収を実施することを提案している。

 覚書には法的拘束力はないとみられ、東芝は日米韓連合と交渉を進めながら、強硬姿勢を崩さないWDから譲歩を引き出す狙いもある模様で、売却先は依然として流動的だ。【古屋敷尚子

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