2017年2月1日水曜日

<ネット検索>逮捕歴の削除認めず 最高裁、公共性を考慮

 インターネットの検索サイトに自身の逮捕歴が表示される男性が、検索結果を削除するよう求めた仮処分申請で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1月31日付で、男性の抗告を棄却することを決定した。削除を認めない判断が確定した。決定は「プライバシーに関する事実を公表されない利益と、検索結果を提供する理由の諸事情を比較考慮し、公表されない利益が明らかに優越する場合には削除が認められる」との初判断を示した。事実上、逮捕歴など公共性のある内容の削除に高いハードルが設けられた。

 時間が経過した個人情報の削除を認める「忘れられる権利」が欧州連合(EU)で承認され、日本でも削除請求に対する関心は高まっている。男性側はこの権利などを根拠に削除が認められるべきだと主張したが、小法廷は新たな権利として認められるかについては言及しなかった。

 決定などによると、男性は2011年に児童買春禁止法違反容疑で逮捕され、罰金50万円の略式命令が確定した。その後も検索サイト「グーグル」に男性の名前と住所地の都道府県を打ち込んで検索すると、逮捕を報じる記事のタイトルや概要が検索結果として表示されていた。

 グーグルは検索結果は機械的・自動的に表示されることから、表現行為に当たらないと主張。これに対して小法廷は「検索結果の提供は事業者の表現行為の面がある」と指摘し、当事者が削除を請求できる対象に含まれるとの初判断を示した。

 そのうえで小法廷は「検索サイトはネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしており、検索結果の削除はこうした役割を制約する」と指摘。

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