2016年7月25日月曜日

<h1 itemprop="headline">機械化されるのは職業じゃなく、タスク。 マッキンゼーが800職業2000タスクを超分析




一番機械化されそうなのは、どんな業種のどんなタスク?

最近、レストランなんかでもタブレットで注文できるところが増えてきました。そのほうがウェイターさんを待つ時間が省けて効率的ですが、ちょっとさびしい感じもします。いろんなことがロボットとかモニタとのやりとりで済んでしまって、パーソナルなサービスはどんどん消えていくのかなぁ…と。

でも実際は、やっぱり何でもかんでも機械化されるわけではないのかもしれません。コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー(以下マッキンゼー)が仕事の機械化の未来についてまとめている報告書によれば、我々がSF的に妄想している「ある日突然、オフィスの自分の席にロボットが座っていて、自分の仕事を全部奪われる」みたいなことはあんまり起こらなそうなんです。そういう、白か黒かじゃなくて、濃淡のグレーがまだらに存在するのが近未来なんだろうな、という感じです。

職業をタスクに分けて考える


ロボットに置き換えられやすい職業とそうでない職業がある、とは前から言われていますが、すべての職業は複数のタスクで成り立っています。ひとりの人が一連の仕事としてさばいているタスクの中には、自動化しやすいタスクとそうでないタスクがあるはずです。そこでマッキンゼーでは、あらゆる職業のあらゆるタスクがどれくらい自動化されやすいかを分析したんです。

マッキンゼーでは米国労働省のデータベースO*NETと労働統計局のデータを使い、米国内の800種類の職業に含まれる2000種類のタスクが何時間ずつ行われているのかを調査しました。さらにタスクの性質を「専門性の適用」「関係者とのやりとり」「データ収集」「データ処理」など7つに分類し、それらが既存技術で置き換え可能かどうかを検討しました。そして、あるタスクの中の既存技術で置き換え可能な時間の割合を出し、それを「自動化の技術的実現可能性(technical feasibility of automation)」と定義しました。

自動化しやすいタスク、そうじゃないタスク


自動化の実現可能性が高いタスクはどんなものかというと、たとえば工場のラインでの溶接とかマニュアル的な食品加工といったタスクが例示されています。これらは「いつも大体同じ環境で同じ動作を繰り返す作業」というような意味で「予測可能な肉体労働」とカテゴライズされていて、自動化の可能性は全業種平均で78%になります。

ここで「ライン工の仕事はロボットに置き換えられる」って話だとするとなんかすごい言い古されたことなんですが、この報告書のミソはそういうところじゃありません。どんな業種にも、たとえば巨額の報酬をもらってる人がたくさんいる(らしい)「金融」とか「経営」とかの分野にもこの「予測可能な肉体労働」が含まれてるらしいんです。って何なんでしょうね、社長発案のラジオ体操? まあとにかく、そういうのを機械で効率良くすれば、世の中もっと良くなるのかもしれません。単にその社長がもっとお金持ちになるだけかもしれませんが。

で、逆に自動化の実現可能性が低いのは、いわゆる管理職的な「他者の管理」、勉強や訓練を要する「専門スキルの活用」、顧客対応などの「関係者とのやりとり」、建設作業のような「予測不可能な肉体労働」といったタスクで、それぞれ全業種平均で9%、18%、20%、25%とされています。

ただもっと細かく見ると、ある種のタスクを自動化できる可能性は業種によって違います。たとえば一口に「予測可能な肉体労働」といっても、その中でも一番自動化されやすそうなのは「宿泊施設・フードサービス」分野で、可能性は90%にも及びます。つまりホテルのカウンター業務とかレストランのウェイターみたいな仕事は自動化されやすいし、実際自動化されつつあります。それに対し、「運輸・倉庫」や「医療・社会福祉」分野の「予測可能な肉体労働」の自動化可能性は50~60%となっています。

またほとんどの業種では「予測可能な肉体労働」が一番自動化しやすいとされているのに対し、たとえば「農業」では「データ収集」が一番自動化しやすいなど、逆転している分野もあります。ロボット化が始まる場所とかそのあり方は、業種によって大きく違ってきそうです。このあたりのことがパッと見てわかりやすいインフォグラフィックスが、こちらで見られます。

仕事がなくなるというより、再定義される


この報告書の前段となる報告が2015年にあったんですが、その中でもマッキンゼーは職業のうち60%において、作業の最低30%が自動化される可能性があると言っていました。逆に言えば、あらゆる仕事が機械に置き換えられるわけではなく、部分部分が自動化されていくということです。

ただそれによって、いろんな仕事の守備範囲を再定義する必要が出てきます。過去の例を振り返れば、たとえばATMが普及した今でも銀行の窓口は生き残っていますが、その役割は大きく変化しました。

「ある作業が自動化可能だからといって、必ずしも自動化されるとは限らない」とマッキンゼーの報告書にはあります。「簿記・会計・監査事務員にはスキルとトレーニングが必要なので、ベーシックな調理師よりも希少である。だが彼らが行う作業を自動化するコストは低く、ソフトウェアと基本的なコンピューターがあればたいていは事足りる。」

つまり、あるタスクにロボットが使われるかどうかは、単に技術的に可能かどうかだけでなく、自動化のコストとか、そのタスクに必要なスキルの希少性とかが総合的に加味されて決まる、ということです。またこの報告書では、社会的な受け止め方も、あるタスクが機械化されるか否かに影響すると指摘していて、だから「ここは人間じゃないと寂しいなぁ」みたいな感情も無意味ではないということです。

怖がるよりも、楽しむが勝ち


マッキンゼーの人たちは、こうした急速な自動化へのシフトに不安を感じるより希望を持つべきだと言っています。たとえばインテリアデザイナーであれば、これまで部屋の寸法取りや、イラスト起こし、生地発注に使っていた時間を、もっとクリエイティブな活動に振り向けられる、と。違う言い方をすると、退屈な仕事はロボットにおまかせして、ワクワクする仕事だけ自力でできる、って思えばいいみたいです。まあ誰もがつねにクリエイティブなことをしていたいのかっていうと、ちょっとわからないんですが。

この報告書は2017年に完成版発表予定で、今回は中間報告となります。来年になるといろんなタスクの自動化の可能性はさらに高まってそうですが、基本的な考え方は大きく変わらないはずです。つまり、ロボット革命は職場の部分部分からじわじわやってきて、それによって人間の仕事の中身は変わっていくけど、怖がるよりも歓迎するつもりのほうが、きっと楽しい、と。


source: McKinsey & Company via Snapmunk

Carli Velocci - Gizmodo US[原文
(miho)

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