2016年2月21日日曜日

もう知らないと乗り遅れる? 「VR(Virtual Reality)」の基礎知識

 「VR(Virtual Reality)」は日本語で「仮想現実」といった訳語が定着していますが、それぞれの英単語の意味をそのまま訳すと「現実同然」といった意味になります。

 ITに詳しい読者の方なら「仮想メモリ(Virtual Memory)」や「仮想マシン(Virtual Machine)」と言ったコンピュータ用語をご存じかと思いますが、これらの言葉はHDDやSSDなどメインメモリではないものを「メモリ同然」として扱ったり、プログラム上でコンピュータハードウェアをエミュレーションして「マシン同然」として扱えるものを指しています。

 VRもそれと同じように、広義では「現実同然として扱える事象全て」を指す言葉です。現実世界を模したものは、全てVRと呼んでも差し支えはないでしょう。

 大学の研究施設では、部屋自体をバーチャル空間にすることが可能なシステムも既に存在します。例えば、筑波大学エンパワースタジオのVRシステム「Large Space」では、人間を吊り下げるワイヤー、奥行きのある映像を壁面全周と床面に表示するプロジェクター、そして複数人の動きをリアルタイムでトラッキングするモーションキャプチャーシステムの組み合わせにより、空間そのものを別世界に置き換えたような体験ができます。

 このように、ひとくちにVRと言っても、その実現方法はさまざまです。

●VRの何がスゴイのか

 VRは「全く別の世界を再現すること」が目標の分野です。最終的には視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感と、平衡感覚などの人間が持つさまざまな感覚に働きかけて別の世界を現実さながらに体験できるようになることがVRの到達点です。

 物語や映像、ゲームを通して「他人事(ひとごと)」として想像上の世界を体験するのとは異なり、「自分が見て聴いたこと」として人工世界に入り込むことができるのが、VRの特徴であり、すごさとなっています。そのため、VRは映像作品やゲームのコンテンツに限らず、医療、観光、教育、自動車、航空宇宙産業、モノ作り、軍や警察、広告など、幅広い分野での応用が考えられます。

●なぜ今VRが話題なのか――火付け役となったOculus Rift

 最近話題の「VR」は、ほとんどの場合ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)によって実現されたものを指します。

 しかし、VRを抜きにしたHMD自体はそれほど目新しい物ではありません。

0 comments:

コメントを投稿