2016年1月22日金曜日

「翔んで埼玉」がすごい―30年前の漫画がTwitterで人気、復刊で30万部突破

1986年に登場したとある漫画が、約30年の時を経てTwitterで話題となり、ついに復刊。累計30万部を突破する。インターネットによる輝くばかりのサクセスストーリーに彩られた作品がある。「翔んで埼玉」である。

ギャグ漫画「パタリロ!」などの著者である魔夜峰央(まや・みねお)氏の、1986年刊行の単行本「やおい君の日常的でない生活」に収録していた作品。

主人公である埼玉生まれの美少年が東京都民の埼玉弾圧に立ち向かうという、埼玉を題材にしたギャグマンガ。その不条理なまでの埼玉差別、弾圧の描写、虐げる側であるはずの東京都民の少年と交わす美しくも悲しい心の交流などは、ギャグ漫画の枠を超えて今も輝きを放っている。

当時、魔夜峰央氏は埼玉県は所沢在住で、いわば地元への愛情をこめて思い切りからかった内容にしたものらしいが、現代のTwitterでは埼玉県民のかわいそうな扱いが話題を呼び、クチコミで評判が広まった。テレビ番組でも取り上げたそう。

宝島社のマンガレビューサイト「このマンガがすごい!WEB」の選者からも復刊を望む声が多数あり、同サイト編集部が魔夜峰央氏に提案したところ実現。予想していた数を大幅に上回る予約があり、発売前に重版を決定、2万5,000部を20万部に増刷。その後売れ行き好調のため、今回の重版で30万部に達した。

実際、街を歩けばコンビニエンスストアのコミックスコーナーに並び、書店では平積み。今も昔もほとんど変わらない魔夜峰央氏の華麗な絵柄に惹かれたインターネットコム編集部の男性記者は「新作かと思って…」購入してしまったそう。

Twitterでの話題の爆発力のすさまじさをあらためて感じる。なお、宝島社は魔夜峰央氏のコメントも紹介している。

「当時埼玉に住んでおり、埼玉の人の感性が自分に乗り移って描いたのだと思います。ただ、現在は神奈川県在住なので、よく思い出せません。人気が出ていると聞いて、なぜ今なんだろうと、不思議でなりませんね。当時はなんの反応もなかったので、嬉しい交通事故みたいですね。こんなのはじめてです。埼玉の皆さん、どーもすみません」

なお、翔んで埼玉は未完であるが、完結編は出ないのだろうか。

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