2015年9月25日金曜日

戦いの火ぶたは切られた――3キャリアの「iPhone 6s/6s Plus」を巡る攻防

 iPhoneは、3キャリアとも同一モデルを扱うことになるため、キャリア同士の競争が激化しがちだ。端末での差別化ができず、キャリアとしては、それ以外の部分で勝負せざるをえなくなる。もちろん、端末に人気がなければ競争は促進されないが、iPhoneは単一機種としては年間で最も販売台数が多い。キャリアとしても、無視するわけにはいかない存在といえるだろう。料金やキャンペーンに加え、iPhone 5でLTEに対応してからは、ネットワークのアピール合戦も激化している。今回は3キャリアのiPhone 6s/6s Plusを巡る戦略を読み解いていく。価格はすべて税別。

●「スーパーカケホ」で料金合戦を仕掛けたKDDI

 iPhone 6s、iPhone 6s Plusで口火を切ったのはKDDIだった。同社は基本使用料が1000円安い、「スーパーカケホ」を他社に先駆けて発表。1回の通話の上限を5分にすることで、料金を安く設定した。キャリアの収益は、料金とユーザー数の掛け算が基本。基本使用料の値下げは減益に直結してしまうため、手を打ちづらい。スーパーカケホは、ここに踏み込んだ「禁断の手」だ。

 これに対して、まずソフトバンクが追随。同じく基本使用料が1700円となる、「スマ放題ライト」を発表した。カケホーダイの導入で収益減に苦しんでいたドコモも、ここには対抗せざるをえなかったようで、やや遅れて「カケホーダイ ライトプラン」を導入することを発表し、3社の足並みがそろった格好だ。

 一方で、先行していたぶん、KDDIの方が料金プランは練られている印象を受ける。1700円、1回5分までの割安な料金プランは組み合わせられるデータパックに制限がかけられているが、KDDIだけ3Gバイトの「データ定額3」が対象になっている。一方のドコモは5Gバイトの「データMパック」以上、ソフトバンクも5Gバイトの「データ定額パック 標準」以上としか組み合わせることができない。

 ドコモとソフトバンクは、低容量が2Gバイト、その次が5Gバイトまでとなっており、間である3Gバイト、4Gバイトの選択肢が用意されていない。カケホーダイのような通話定額プランは、音声通話から得られる収益が下がる構造になっており、ユーザーが大容量のデータパックを選択することで減収分が相殺される。例えば、ドコモは経営指標の1つとして、5Gバイト以上のデータパックの選択率を公表している。

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