2014年9月17日水曜日

「ウチの社内SNSは活発だ」――そんな企業がコミュニケーション不全に陥った“2つの原因”

 企業内での新たなコミュニケーション手段として注目を集めている「社内ソーシャルシステム」ですが、導入に失敗してしまうケースも少なくありません。前回の記事では、社内ソーシャルが求められてきた時代背景と、ニーズがあるにもかかわらず"失敗事例"が絶えない現状について紹介しました。

 一般的に、社内ソーシャル導入において経営層が期待するのは「部門をまたいだ情報共有のスピードアップ」です。その理由は明白で、多くの日本企業は"縦割り型"の組織体系であり、そのままでは部や課を横断した情報共有が発生しにくいからです。

 そんな縦割りの弊害を打破するために社内ソーシャルという概念が持ち込まれたはずなのに、なぜこんなにも成功事例が少ないのでしょうか。今回は、ある2つの企業(A社・B社とします)の失敗事例をもとに考えてみましょう。

●「役員も積極的だったのに……」A社の失敗ケース

 A社では従来、メールやグループウェアを中心とした社内コミュニケーションを行ってきました。その内容は仕事上の「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)がメインでしたが、「それだけではイノベーションが起きにくいのでは」と、あるとき経営陣のトップダウンで社内ソーシャル専用ツールを導入することになりました。

 導入はかなりスムーズに進みました。ITリテラシーが比較的高い社員が集まっている同社では、社内でのソーシャルツールに対する抵抗感は少なかったようです。導入後も"ソーシャル推進派"の役員が積極的にプライベート行事や仕事への所感などを投稿したりと、活発に書き込みが行われていました。

 しかし、このように順調に見えたA社でしたが、なぜか半年もしないうちにソーシャルツール上での情報共有が激減してしまったのです。

 もちろん、社員に活用してもらうための工夫を怠っていたわけではありません。例えば、社内の部活動の報告はこのソーシャルツールでの報告が義務付けられ、定期的に情報が投稿される仕組みが作られていました。それでも使われなくなってしまったのです。

●「フラットに交流していたはずが……」B社の失敗ケース

 小売業を営むB社では、全国の店舗スタッフと経営層をはじめとする本部メンバーがフラットに情報交換するため、無料のソーシャルツールを導入しました。

 B社はもともと店舗ごとにモバイルデバイスを支給していたこともあり、現場スタッフによるサインアップは順調に進みました。

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