2014年8月27日水曜日

携帯ショップの営業停止も――通信キャリアの“違法キャッシュバック”問題に揺れる韓国

 端末販売時の割引金額に上限が制定されている韓国。だが実態は各通信事業者が顧客獲得のためそれを超える違法な補助金を支払うことが通例化している。韓国の行政当局は不公平な販売競争を是正するため、違法行為を行った事業者に対し一定期間の営業を停止させるという思い切った罰則を与えた。しかしそれでも違法補助金はなくならなかったのである。

●事業者の営業を強制的に停止――その理由は違法なキャッシュバック

 韓国の放送通信委員会は、SK TelecomとLG U+の2社に対し、8月と9月に1週間ずつの営業停止制裁を決定した。予定される停止期間は2014年8月27日から9月2日と、9月11日から9月17日まで。この間は店舗での新規契約やMNP受け入れ、機種変更などが禁止される。営業停止は両者の直営店や代理店だけではなく、各社回線を扱う総合代理店でもSK TelecomとLG U+の新規手続きは一切不可となる。これは2014年の初めに両者が端末購入者に対し違法な補助金を提供したことへの制裁処置だ。また、両社ともう1社のKTには課徴金も科せられ、その金額はそれぞれ166億5000万ウォンと82億5000万ウォン、そしてKTが55億5000万ウォンと3社合計で合計304億5000万ウォン(約31億円)となる。

 韓国の携帯電話の販売方法は日本とかなり類似している。携帯電話は通信事業者が販売し、消費者は回線契約と端末をセットで購入、そして料金プランに応じて端末の割引が受けられる。街中にはSK Telecom、KT、LG U+各社の直営店や代理店が店を連ね、繁華街では契約者獲得のために店同士が激しい営業合戦を行っているのも日本と同様だ。アジアやヨーロッパで見られるような、回線契約(SIMカード)だけを通信事業者で契約し、端末はメーカーブランド品を単体で購入する、という販売方法はほとんど行われていない。

 一方で、日本とは大きく異なる部分もある。まず端末は事業者ブランドではなくメーカーブランドで全て販売されている。つまり事業者が自社専用モデルとして自社ブランドとして販売するのではなく、メーカーが事業者向けにアレンジを行ったメーカー端末が販売される。一例を挙げればサムスン電子のGALAXY S5はSK Telecom向けが「SM-G900S」、KT向けが「SM-G900K」、LG U+向けが「SM-G900L」と、同じ型番で末番に事業者認識のアルファベットが付与されて販売される。

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