2014年6月26日木曜日

ブラジルW杯をICTで支えたNEC 舞台裏の物語

 南米ブラジルで開催中のサッカーW杯では連日熱戦が繰り広げられている。残念ながら日本代表チームは予選リーグで敗退してしまったが、"もう1つの日本代表"ともいえるが、会場となるスタジアムのICTシステムを手掛けたNECだ。世界の注目を集めるスポーツイベントを同社ICTの面からどのように支えたのか――。

 ブラジルW杯の舞台となるスタジアムはトレーニングセンターを含めて16カ所ある。NECはそのうち5つのスタジアムでICTシステムを構築した。同社は南米で40年以上事業を手掛けているが、その中心は通信や放送システムであり、スタジアムのICTシステムは初めてだったという。取り組みはブラジルでの開催が決定した2007年に遡る。

 「NECはラテンアメリカ市場でテレコム事業を長く手掛けてきましたが、W杯開催を契機に様々な社会インフラへの投資拡大が見込まれ、ICTソリューションによる新たな事業の拡大と地域への貢献を目指したいと考えました」(米州・グローバルプラットフォーム本部中南米グループの山本淳也マネージャー)

 会場のある多くの自治体ではW杯開催に合わせてスタジアムを新設するとともに、周辺地域の再開発プロジェクトも計画された。同社としては最先端のICTソリューションを通じて中長期的に同国の社会インフラを支えていきたいという思いもあったという。

 山本氏によれば、スタジアムのICTシステムの構築で当初は幾多の苦労があったそうだ。

 「NECとしてサッカースタジアムのICTを構築することは初めての経験でした。事業主体である州政府や地元自治体なども世界規模の大会は初めてということもあり、スタジアムの専門家や地元企業らと協議を重ねがら取り組みを進めていきました」

 W杯クラスのスタジアム設備に関しては主催者である国際サッカー連盟(FIFA)が様々な規定を設けており、ICTシステムもこれに含まれる。スタジアムに導入されるICTシステムは、監視カメラや入場管理、通信ネットワーク、防災、映像・音響、ビル管理など10数種類に上る。これらの機器のメーカーは様々だ。各種システムはスタジアムの中央管理センターで一元的に運用されるものとなっている。NECはシステム全体の構築プロジェクトを手掛けた。

●開幕直前の難局を乗り切れ

 決定したW杯の開催スケジュールを変更することはほぼ不可能であり、システム構築では納期を死守することが絶対条件となる。

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