2014年4月28日月曜日

ジョブズのように画期的アイデアを思いつくには

■ジョブズは本当に「天才」だったのか
日本になぜ、スティーブ・ジョブズのような天才が生まれないか――。天才と崇められる人物は時代の変革の時期に生まれるものだ。過去、日本にはジョブズをはるかに上回る経営者が何人もいたと思う。「次のジョブズ」を期待する気持ちはわかるが、「次の変革期」について考えずに、彼自身を研究しても意味がない。
1990年代後半にジョブズが呼び戻されたとき、アップルは瀕死の状態であり、組織として新しい商品をつくり出すことに必死だった。そういう組織と優れた経営者の組み合わせが、ヒット商品を出すエネルギーの素になったことは間違いない。
そのうえでアップルはインターネットという変革期の波を捉えた。アップルはコンピュータの競争では全く勝てなかった。だがインターネットと通信機器を組み合わせた「iPhone」をつくることで、コンピュータに全く新しい利便性を与えた。
iPhoneに関しては「なぜ日本のメーカーが生み出せなかったのか」といわれる。技術はあったのに、スマートフォンでは、アップルや韓国企業に大きく遅れた。「最近の日本企業はイノベーションを生み出せていない」という批判もあるが、これは日本の産業史を誤解している。
日本は産業革命の後期に発展した国だ。典型的な商品は自動車、電話、テレビ。このときトヨタが自動車を、ソニーがテレビを発明したわけではない。いずれも改善や改良だ。日本企業は、新しいものをつくることで成長してきたわけではないのだ。
特に通信には、イノベーションを妨げる状況があった。日本では通信事業者(キャリア)が政府によって保護され、市場を寡占してきたため、メーカーに対して圧倒的に優位な立場にある。発注者が限られていれば、受注者は言いなりにならざるをえない。発売時期や新機能、細かい仕様に至るまでキャリアから指示を受けるメーカーに対して、「独創的であれ」というのは酷な話だ。
だが、時代は変わった。日本を含め、現在のような変革期には、ジョブズのようなイノベーションを起こす人物が生まれやすい。
イノベーションとは、単なるハードに限らない。また特にITにおいては、メーカーだけではなく、ユーザーの視点から生み出されることも多い。たとえばGoogleを創業したラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、ユーザーの視点からイノベーションを起こした。日本では森川亮氏が「LINE」というイノベーションを起こしている。

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