2014年3月31日月曜日

歌いにくいからこそ歌われる――ボカロ曲がカラオケで人気な理由、JOYSOUNDに聞いた カギは「攻略」

 「10代はボカロ世代、20代はアニソン世代!?」――昨年12月、「JOYSOUND」を運営するエクシングが発表したカラオケ年代別ランキング(年間)には、こんな言葉が書かれていた。実際、以下の表を見て分かるように、年代を下るにつれてアニソンの率が明らかに高まっていき、そして10代になるとボカロの影響力が大きくなる。

 このランキングは90年代以降の音楽シーンでのJ-POPとカラオケの蜜月関係を知る人には、少々驚きの結果かもしれない。ただ、プレスリリースをよく見てみれば、ここで集計されているのは、JOYSOUNDのカラオケ・ソーシャルメディア「うたスキ」会員の歌唱履歴。そもそもネットユーザーに偏ったランキングであると言えるかしれない。

 だが、実はJOYSOUND全体での歌唱履歴で集計されたランキングでも、数年前からハチ feat.初音ミク,GUMIの「マトリョシカ」、WhiteFlame feat.初音ミクの「千本桜」などが上位に食い込んでいて、やはりボカロ楽曲の台頭は著しいのだ。実際、筆者も数年前からカラオケボックスの歌唱履歴でボカロ楽曲を見かけることが顕著に増えた。

 一体、なぜ世界はこんなことになってしまったのか――ニコニコ動画やボカロはネットのアングラ文化ではなかったのか! 古き良きネットを知るユーザーからそんな嘆きの声(?)のひとつも聞こえてきそうなランキングだが、果たしてその実態はどうなっているのだろうか。今回は、そんな昨今の謎だらけの若者ボカロ事情を探るべく、エクシングでボーカロイド楽曲の担当する音楽出版グループディレクター・石井圭さんと広報担当の島村舞さんにお話を伺ってきた。

●"歌いにくい"からこそ歌われる

――昨年末に発表された10代のランキングに、ボカロ楽曲が多数ランクインしています。どういう人達が歌っているのでしょうか。

石井圭(以下、石井) すでに現在のボーカロイドは、10代の間ではニッチな趣味ではないんですね。1つのジャンルとして完全に確立しています。なにせ学校の教室にいれば、お昼の放送で普通に流れてきますから、たとえ興味はなくても知っている人が相当数いる状態です。

――となると、一部のオタクのヘビーユーザーが歌ったことによるランキング上昇ではないのですか。

石井 それではランキングには入らないですね。ライトユーザーが広く存在しているのが、現在のボカロだと思います。

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