2014年3月31日月曜日

可能性を信じ絶対にあきらめない -楽天会長兼社長 三木谷浩史氏

楽天がインターネットショッピングモールを始めたころは、先に参入した大企業がどこも苦戦していたため、うまくいくはずないと否定論ばかりでした。実際、創業時の出店数はわずか13店舗。スタッフ総勢6人で全国を回って1カ月に5店舗獲得がやっとでした。でもぼくは無限の可能性を感じていた。
問題はどうすればお店の人に話を聞いてもらえるかです。近くの空き地で腕立て伏せやモモ上げをして、汗をかいたまま息を切らせて店に駆け込み、真剣さをアピールすることもしました。
それが"つかみ"になって耳を貸してもらえる。インターネットショッピングの現状をそのまま話し、出店してすぐに何百万円もの売り上げは約束できないけれど、将来的にはこうなるはずで、挑戦する価値はありますと訴える。次第に10件中6~7件は加盟してもらえるようになりました。
重要なのは途中であきらめずにやり抜く力です。ぼくが否定論の嵐にあってもあきらめずに続けられたのは、普通は辛いどぶ板営業もどぶ板と思わず、楽しんでやれたからです。インターネットショッピングは中小商店を元気づけられる。どうすればもっとよくなるか、何か新しいことはないかと常に好奇心を働かせていたからすごく面白かった。ぼくは街を歩いていてもつぶれかかった店を見ると、自分だったらどう立て直すかと考えてしまう。どんな仕事も取り組み方次第で面白くなるし、面白ければ何が何でも達成しようと考えるようになります。

(08年1月14日号 当時・会長兼社長 構成=勝見明
■楠木 建教授が分析・解説
目標を設定したら、必ずそれを実現していく。三木谷氏はビジネスマンに求められる要素として、「戦略性」「実行力」「オペレーション(事務処理)能力」の3つをあげるが、なかでも自身が組織を引っ張ってきた原動力は「実行力」にあったと話す。
楽天が「否定論の嵐」に見舞われていた時代、三木谷氏とときどきお話しする機会があった。「資本も事業基盤もない後発組の楽天がニフティーモールやソネットモールに勝てるのか」と懐疑的な見方が強かった頃である。
ネットモールとリアルの商店街が対立的な構図でとらえられていた時代にあって、当時の三木谷氏は、「インターネットショッピングこそ落ち込んでいく中小の商店街の受け皿になれる」と語っていた。また「家の中に自動販売機がきても、欲しいものがなければ何も買わない」というロジックで従来型のネットモールを全否定していた。

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