2014年3月26日水曜日

中小企業を元気にするスマホ導入の極意――成功企業の社長に聞いた

セミナーリポート:

 誠 Biz.ID編集部は、主催セミナー「成功企業に学ぶ "仕事に効く、スマホ導入の極意"」を2014年2月14日に横浜市で、2月21日に広島市で開催した。参加者は、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスを活用する企業の成功事例の紹介やスマートデバイスを導入・運用するうえで注意すべきセキュリティのポイントを熱心に聞いていた。今回は活用事例を紹介した第1部を中心にリポートする。

●渋谷のシェア40%強! スマホと足で稼ぐ――山崎文栄堂の場合

 横浜会場で成功事例として登場した山崎文栄堂は、1925年に町の文房具店として渋谷で創業した。現社長の山崎登氏が家業を継いだときは赤字続きで倒産の危機にひんしていた。

 だが、現在では取引社数3万社、売り上げも45億円を突破。従業員数40人にも満たない中小企業に何が起きたのか。1つは、山崎文栄堂のビジネスモデルをオフィス文具の通販代理店に切り替えたこと。もう1つは、ITの積極的な全社活用にある。

 その成長を下支えしているのは、同社が積極的に取り入れたスマートデバイスの力だ。内定者を含む全社員にスマホ、タブレットを配布。電動アシスト自転車を使って渋谷区内の企業を訪問し、オフィス文具の営業を行うというデジタルでアナログな商売を続けている。

 主に利用しているのは、グループウエアや地図・経路情報アプリ、バックオフィス系のツールなど、どの会社でも使っているような一般的なものだ。ただし、山崎文栄堂の全社員がこれらのツールを使いこなしていることは特筆すべき点だろう。

 「スマートデバイスはあくまでもツールです。導入することが目的ではなく、社員がムダな作業をしなくていいようにするためのITでなければダメです。そのためには、導入しようとしているツールが『全員で等しく使える』ものであることが一番大切なんです」(山崎氏)

 山崎文栄堂には、デジタル世代の若手社員もいれば、IT活用になじみの薄い中高年社員もいた。どうしたら、社員全員が使えるようになったのだろうか?

 「必要なのは『粘り』。システム部門の粘りもそうですが、最後の1人まで使わせるんだという社長の粘りですね。ITを使える人はすぐ使いこなします。一方で、なかなか使いだせない人もいる。そのような使っている人と使っていない人がいる状況では、社員の間に不公平感が生まれてしまいます」

 山崎氏はまず、全社員が3週間先までの予定をグループウエアに必ず入力するルールを定めた。

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