2014年1月23日木曜日

Wii U健闘は任天堂復活の予兆か?「一人遊び」復権と脱ソーシャルゲームの流れ

 2013年の国内での年末商戦で、任天堂のWii UがソニーのPlayStation 3(PS3)を抑えて据え置きゲーム機売り上げのトップ――この意外な結果を前にして息をのんだ人も多いはずだ。Wii Uといえば、12年末の発売直後こそ健闘したものの、年明けにはすぐに失速し、海外でも苦戦続きで「Wii Uにクリスマスは来ない」と酷評された。実際にソニーがPS4、マイクロソフトがXbox Oneといった新ハードを投入した北米でも圧倒されっぱなしだ。そんな「任天堂の主力である携帯ゲーム機の足を引っ張る死に体ハード」という負のイメージが定着しつつあった中で、Wii Uに初めて光が差してきたのである。

 それに対してフィーチャーフォン(ガラケー)やスマートフォン(スマホ)で遊べるソーシャルゲーム市場は、家庭用ゲームに取って代わる新勢力として注目を集めてから数年で、早くも成熟期を迎えた感がある。ソーシャルゲーム二強のうちグリーは200人ものリストラを敢行し、一方のディー・エヌ・エーも連続減益を重ねており、任天堂を過去の遺物に追いやる鼻息の荒さは影を潜めた。

 しかし、この一連の流れが定着するというには、まだ根拠が弱い。Wii Uの好調は任天堂の切り札的なソフト『スーパーマリオ3Dワールド』の発売にブーストされた一過性のものかもしれないし、ソーシャルゲームの不調はガラケーからスマホへ、開発コストも安くて乱造しやすいブラウザゲーム(Webブラウザで遊ぶゲーム)から高度な技術力が求められるネイティブアプリ(ダウンロードして使うもの)への移行に伴う「生みの苦しみ」にすぎないという見方もできるからだ。

●一人遊びを求める流れ

 しかし、これまで一方通行だった家庭用ゲームからソーシャルへの"進化"と思われたものに逆行する動きは、さらに"次"の変化への予兆かもしれない。1991年に登場した対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター2』(カプコン)によってゲームセンターが格闘ゲーム一色に染まり、当時素人だったソニーが投入したPSは、それまでドット絵だったゲームを3Dグラフィックスの世界へと塗り替えた。熱狂も飽きも早いエンタメの極北であるゲームにおいては「時代への逆行」が次の主流となることも珍しくない。

 Wii Uが死の淵から蘇ったことの根底にあるのは、「一人遊び」するゲームの復権ではないか。つまり他のプレイヤーと協力してボスと戦ったり、友達との義理でやめるにやめられないといったシガラミもなく、自分の内から湧き上がる欲求に従って心ゆくまで遊べることを求める流れがあると考えられる。

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