2014年1月22日水曜日

洪水から完全復活したニコンタイランド――財産は人材

【タイ・アユタヤ発】タイの首都バンコクから車で約1時間、アユタヤのロジャナ工業団地の中に位置するニコンタイランドは、デジタル一眼レフカメラの初・中級機と交換レンズを製造するニコン最大の生産拠点だ。2011年、大規模な洪水の被害に遭い、約3か月生産がストップしてしまったことは記憶に新しい。あれから2年、さまざまな洪水対策を施し、ニコンタイランドは完全に復旧している。製造工程のなかで品質をつくり込んでいくという発想で、多くの検査工程を経てできあがる一眼レフや交換レンズ。ここアユタヤでも、高い信頼性を誇るニコン製品が日々つくられている。ニコンタイランドの村石信之社長に取り組みを聞いた。

●「そこまでやるのか」といわれるほど徹底した検査・調整

 ニコンは、「D4」や「D800」などの一眼レフ上位機は仙台、高価格帯の交換レンズは栃木と、国内の生産拠点で製造している。一方、「D610」「D7100」「D3200」などの初・中級モデルと普及価格帯の交換レンズを製造しているのが、タイ・アユタヤのニコンタイランドだ。

 ニコンタイランドの設立は1990年と古く、フィルム一眼レフ用の交換レンズ製造からスタートした。1994年にフィルムの一眼レフ「F601」の生産を開始。2004年の「D70」で、デジタル一眼レフの製造に入った。派遣社員も合わせた従業員は約9000名。午前と午後の7時45分を業務開始とする2交代の24時間体制で運用している。ここでは、カメラやレンズの組立てのほか、球面・非球面レンズ加工、超音波モーター、シャッターユニット、オートフォーカスユニット、手ブレ補正ユニットなど、主要部品も製造している。

 ニコンタイランドが掲げる経営ビジョンは、「世界一の品質と効率」。「製品がお客様の手に届いたあと、どのような環境で使っていただいても100%の品質を維持できるように」と村石社長。「信頼性試験に関してはさまざまな場面を想定した試験を定期的に実施して、品質を保証している」という。

 薄型テレビやパソコンの製造と異なり、1台1台の検査・調整に多くの手間ひまがかかるのが一眼レフやレンズ製造だ。ニコンタイランドでは、重要なパーツやユニットのトレーサビリティも、工程でしっかり管理している。

 同じような検査・調整を複数回繰り返すことに関して、村石社長は「見学した人に『ここまで検査しているのか』といわれるほど。

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