グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、アマゾンと大手通信企業によるインターネット・バックボーンを巡る戦いが静かに繰り広げられている。
インターネットのバックボーンを巡り、冷戦時代を思わせる戦いがグーグル、フェイスブックやアマゾンのような大手IT企業と、AT&TやComcastのような電話回線やケーブルといった既存のインフラ企業の間で繰り広げられている。
しかし既存のインフラ企業に、勝ち目はないかもしれない。
ウォールストリートジャーナルによれば、大手IT企業は「ダーク・ファイバー」(「ダーク」とは、使用中は光るが未使用な状態では暗くなる光ファイバーの性質に由来する)と呼ばれる光ファイバー・ケーブルの未使用部分に巨額な資金をつぎ込んでいるという。この数年、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、アマゾン等がダーク・ファイバーに度々投資し、自社のデータセンターを設立したり、余っている無線周波数帯の使用権まで購入しているというのだ。
これらの動きは、インターネットのトラフィックに関する勢力図を大きく変えてしまう可能性がある。データ・トラフィックの流れが変わることで、既存のキャリアやインフラの大手企業がこれまで通り利益を得ることができるか、あるいはボトルネックになってしまうのかが注目される。
グーグルが先頭を切るまず歴史的な背景を少し説明しよう。1990年代後半から2000年代初めまでのいわゆるドットコム・バブルで、大手通信企業はインターネット・トラフィックの急激な増加を見越し、こぞって通信ケーブル網の構築に手をつけた。しかしこれらの企業は大きな債務を負った上、必要以上の通信ケーブル網を構築してしまったことから、光ファイバーとデータ通信の価格下落を招いてしまった。この結果、多くの通信企業が破産や廃業に追い込まれることとなった。
行き過ぎたドットコム・バブルの代名詞として、Pets.comを思い浮かべる人も少なくはないだろう。ただ実際のところ、ドットコム・バブル崩壊は当時のインフラ構築を進めた通信企業や投資家達の責任が大きかった。
そこにグーグルが登場する。1990年代後半に設立された同社は、数年の内に潤沢な資金を持つ優良企業となり、当時業績が傾いていた通信企業からダーク・ファイバーを安く買い上げることができたのだ。グーグルがダーク・ファイバーのネットワークを構築しながら自社でインターネット・スイッチまで作り始めようになると、2005年には「Google Net」(グーグル自身がインフラを買い上げ、WiFiを全米レベルで無料提供するネットワーク・サービス)の存在が噂されるようになった。…
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