2013年12月26日木曜日

モバイル写真の功罪:写真撮影による記憶障害の可能性

最新の研究によると、写真を撮ることで記憶力が低下する可能性があるのだという

写真を撮った後、その時のことを全く覚えていないということはないだろうか?これは決してあなただけの問題ではない。どうやらInstagram等の写真アプリは我々の記憶力に良からぬ影響を与えているようなのである。

Psychological Scienceに掲載された最新の研究結果によれば、「写真撮影による記憶障害の効果」なるものが存在するのだという。写真を撮影した場合、撮影しなかった時に比べて被写体のディティールを記憶できなくなるというのだ。

モバイル端末やInstagram等のアプリによって、写真を撮影したり加工して友達と共有したりすることは極めて簡単になった。しかしこれらのアプリは我々の生活を楽にしてくれる一方で、我々の実体験を補完するという役割も果たし始めているのかもしれない。

脳のGoogle依存

Googleが我々の記憶の補助的な機能を担っているというのは、長年議論されてきたことである。2011年にはある研究によって、Googleが実際に我々の記憶の想起に対して有害であるという結果も示されている。コロンビア大学によって行われたこの研究によれば、「人は難しい問題に直面すると、後々コンピューターで調べることを連想してしまう。いずれ関連情報にアクセスできるということが念頭にある場合、記憶の想起率は低下する。情報そのものについて考える代わりに、その情報を得られる場所を思い浮かべてしまうのだ」ということらしい。

つまり難しい質問をされた場合に我々は、自分で答えを思い出そうとする代わりにGoogleに聞こうとしてしまうのである。旅行に行くときも同じだ。事前にルートを覚えていかず、ついついポケットの中の地図アプリに頼ってしまう。

写真でもこれと同じ事が起きているというのである。

Psychological Scienceに掲載された研究では、被験者は博物館の中で色々な物の写真を撮るように指示された。撮影された写真の中には対象物の全体を納めたものもあれば、一カ所にズームした拡大写真もあった。被験者は対象物の写真が自分のカメラに収まっていることを知っており、後で対象物を思い出す必要に迫られた場合には写真を見れば良いということが分かっていたため、自分の脳からは対象物の記憶を消し去ってしまった。一方、写真に撮らなかった物については逆に細かいところまで覚えていたというのである。

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