2013年12月26日木曜日

特許侵害への当てつけか!? ニコンとシグマで冷戦勃発

 暗黙の了解の上に築かれてきたカメラメーカーとレンズメーカーの関係が崩れるかもしれない。

 2013年秋にニコンから発売された初級機の「D5300」と高級機の「Df」の主要2機種で交換レンズメーカー、シグマのレンズが正常に動作しなかったのだ。新規出荷のレンズは正常に動作するようになったが、すでに該当レンズを購入していたユーザーはシグマにレンズを郵送しアップデートするという手間が発生している。

 実は、ニコンとシグマは特許をめぐり、係争中だ。11年5月、ニコンは、シグマの手ぶれ補正機能を搭載する交換レンズが特許を侵害しているとして、およそ120億円もの損害賠償と対象製品の製造・販売の差し止めなどを求めて、訴訟を起こした。

 今回、正常に動作しなかったのは、まさしくその手ぶれ補正とオートフォーカスだった。

 同じく交換レンズメーカーであるタムロンのレンズは正常に動作しているため、「特許侵害への意趣返しとしてニコンが、自社カメラからシグマ互換レンズを締め出しにかかったのではないか……」という憶測が流れているのだ。

 交換レンズメーカーとは、事業の軸足がカメラ本体ではなく、主にレンズの製造・販売にあるメーカーのことだ。ニコンやキヤノンといったカメラメーカーは自社製のレンズを製造しているが、高性能の半面、高価なことが多くレンズメーカーはカメラメーカーのカメラに互換性を持たせつつも、純正レンズよりも安いレンズを提供している。

 さまざまな場面で撮影するプロやカメラのファンは、広角や標準、望遠、魚眼などいくつものレンズをそろえる必要がある。純正レンズでそろえるなら、数百万円を超えることもある。そのため、レンズメーカーの存在は、選択肢の多様化に一役買っていた。

 一方で、長らくレンズメーカーには「安かろう悪かろう」という印象がつきまとっていた。画質面では純正レンズに引けを取っていたのだ。

本丸に手を突っ込む

 ところが、デジタル化で市場が拡大すると同時に、そこに勝機を見いだしたレンズメーカーは一気に開発を加速させた。画質は飛躍的に上がり、純正レンズをしのぐ評価を得ることも珍しくない。

 この状況がカメラメーカーとの関係に波紋を広げている。何しろ、以前から、カメラメーカーは「レンズでもうける」といわれているほどで、本体を所有するユーザーのレンズ買い増し需要が収益を支えてきたからだ。

 加えて、シグマは近年、自社ブランドのコンパクトデジタルカメラやデジタル一眼レフの製造にまで乗り出していて、さらには、センサーメーカーの買収までしている。

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