2013年11月25日月曜日

Wikipedia がPR会社Wiki-PR に警告。大量の偽アカウントでステマ編集を請負

オンライン百科事典Wikipedia を運営するWikimedia 財団が、米国のPR 会社 Wiki-PR へ利用規約違反を中止するよう警告書を送り、文面を一般公開しました。警告の理由は、300以上の自演用アカウントを作成して、クライアントのために有償で Wikipedia の記事編集を請け負っていたため。

警告を受けた Wiki-PR は米国テキサス州の企業。直球すぎるネーミングに清々しささえ感じますが、同社のサイトには提供サービスとして『記事作成および編集、記事の監視、記事の翻訳、危機対応、新規ページ作成』と掲載されています。

財団はWiki-PR へ送った差し止め要求 (Cease and Desist) メールのなかで、Wikipedia は多くのボランティアによって中立性と透明性、客観性を方針に作成されており、Wiki-PR のようなPR 企業が顧客の有利となるように編集することは、Wikipedia の評価と価値を貶める行為であると述べています。

また文中には、自演アカウントを作成して特定の人物や商品などを持ち上げる行為は、Wikipedia とそのコミュニティを傷つけるのみならず、それが公になった場合は依頼人の評判をも地に落とす可能性があると、これまたもっともな警告もあります。

財団は Wiki-PR および同社と金銭的な関係のあるすべての人物、つまり有料で偏向編集を請け負ったり、議論を特定の方向に誘導するユーザーに対し、Wikipedia コミュニティの定めたガイドラインを順守しない編集を禁止するとともに、同意しない場合は必要なあらゆる法的手段を講じる準備があるとしています。

Wikipedia ではかねてからこのPR会社による編集を警戒して、数百に上るPR用アカウントを見つけ出し停止するなどの措置をとってきました。財団はこれ以前にも Wiki-PR へ警告を出してきたものの、Wiki-PR側は業務を継続すると回答しているため、同社が方針を改めないかぎり訴訟に発展する可能性が高いと考えられます。

(なお Wiki-PRの担当者は「この件についてはWikimedia財団と協議のもと解決を図ってゆきます」的なステートメントを出していますが、Wikimedia財団側は Wiki-PR と交渉した事実はなく、「手打ち」や妥協による解決はありえないとしています。)

公表している業務内容から考えると、Wiki-PR にとってガイドラインへの同意は会社の消滅と同義であり、ボランティア団体になりたくない場合は抵抗するほかないのかもしれません。

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