2013年10月31日木曜日

「スマホでネット」を超高速にするブラウザアプリ『predio』を開発した、KDDI研究所の突破者たち


Wi-FiとLTEを同時に使い、それらを足し合わせた速度まで無線通信を高速化する「リンクアグリゲーション技術」。そんな最先端技術が搭載されたAndroid専用ブラウザアプリ『predio』のβ版が、KDDI研究所から2013年9月にリリースされた。

リンクアグリケーション技術を搭載した次世代型ブラウザアプリ『predio

リンクアグリゲーション技術が可能にするのは高速通信だけではない。2つの回線のうち、通信状況の良い回線でより多くのデータを送受信するよう調整し、常に安定した通信を行うこともできる。

「現状、世界的にも同じような研究をしている国は少なく、国内でもここ2~3年の間に学会などで発表が行われるようになってきた」(『predio』開発リーダー渡辺伸吾氏)というこの技術。

最近でこそ注目されるようになってきたものの、KDDI研究所がリンクアグリゲーション技術の基となる研究をスタートしたのは、スマホが登場するより以前の2005年だった。

彼らが、そこまで早い時期に研究を始めたきっかけは何だったのか? それを明らかにすることで、時代を先取りする研究の発想法を探りたい。
実験的なアプローチからリンクアグリゲーション技術が生まれた

(写真左から)『predio』開発にかかわった竹内和則氏、渡辺伸吾氏、藤本貴

研究を開始したきっかけについて、アクセスネットワーク部門担当の竹内和則氏はこう振り返る。

「研究を開始した2005年、シャープが発売していた『ザウルス』という携帯情報端末をいじっていたんです。1993年から発売されていたのですが、当時の型はなんとすでに動画再生やネットアクセスが可能でした。ただ、それに見合う速くて安定した無線通信が発達していなかったため、サイトや動画の閲覧に時間が掛かり、ギクシャクして使い勝手が悪かった。

残念なことに、『ザウルス』は広く普及するまでには至りませんでしたが、そんな状況を見て『いつかこうした端末を使うのが当たり前の社会になれば、それに伴ってもっと速くて安定した通信が必要とされるはずだ』と思ったのです」(竹内氏)

そこで、竹内氏は無線通信の高度化を図る「コグニティブ無線」という技術を研究テーマに設定し、2005年から本格的に研究をスタート。

研究チームの実務リーダーとして動いたのは、当時竹内氏の部下で、現在、コグニティブ無線グループの研究主査である藤本貴氏。

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