2013年9月18日水曜日

どちらも期待を裏切らない“正統進化”――林信行の「iPhone 5c/5s」徹底レビュー

 新型iPhoneが9月20日からいよいよ発売される。iPhoneには元々、エレガントな本体デザインや親しみやすい操作が生み出す愛らしさという側面と、2007年に登場した初代iPhone以来、携帯電話業界をリードし続けている先進性という側面の2つを持ち合わせていた。

 これまでのアップルは、その両方の絶妙なバランスポイントを製品にしてきたが、今回のiPhoneでは、iPhone 5cとiPhone 5sという2系統の製品ラインアップで、どちらの側面も本気で追求することにしたようだ。

 iPhone 5cは、本体の素材、カラーバリエーションそして使用時の彩りをさらに広げる6色の純正ケースなど、よりiPhoneに親しみを感じさせるための工夫やブラシュアップが隅々まで施されている。2年契約で実質負担が無料になる各社のキャンペーンなどを考えても、これまでiPod touchで我慢していた中高生から、スマートフォンはそこまで本格的に使いこなさないという年配の方々まで、老若男女問わず幅広く魅了する製品に仕上がっている。

 一方のiPhone 5sは、常に初代iPhoneのタッチパネルや加速度センサーやその後の機種で追加された動画、超高解像度のRetinaディスプレイ、音声認識など、新しいトレンドと文化を生み出す先進機能にひかれる人々をターゲットにしたiPhoneだ。

 米Appleはこの端末を「The most forward-thinking Smartphone in the World」(世界で最も未来指向のスマートフォン)と銘打っているが、すでにいくつものWebサイトで議論が始まっている「A7」こと64ビットプロセッサが搭載されたことによるスマートフォンアプリへの変化や、まったく新しい概念のモーションプロセッサ「M7」が生み出すであろう、今の我々には想像もできない新ジャンルのアプリケーションなど、製品が出てしばらくするまではまったく想像すらできない楽しみが秘められている。その一方ですぐに恩恵を受けられ、しかも、使い勝手を根本から変えてくれそうな先進テクノロジーとして「Touch ID」と呼ばれる指紋認証や、同じ800万画素ながら画質を大幅に向上させた新iSightカメラ、新しいスローモーション記録などの新機能も備えている。

 この2機種の発表だけでも十分素晴らしいことだが、実は筆者はiPhoneの本当の素晴らしさを体現しているのが同時に発表された"3台目のiPhone"だと思っている。

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