2013年8月19日月曜日

おくやみ:青空文庫呼びかけ人・著述家 富田倫生さん、61歳

青空文庫の設立者であり「呼びかけ人」として知られる著述家の富田倫生さんが、8月16日に亡くなりました。61歳でした。青空文庫では故人の遺志により、富田さんの著書『本の未来』を公開しています。

富田倫生さんは1952年4月20日 広島市生まれ。物書きを志して編集プロダクションに務めたのち独立し、科学技術やコンピュータ分野のライターとして活躍しました。

闘病のため第一線を退いていた時期に最初期の電子出版技術に触れ、出版社の撤退で絶版となっていた自身の著書を電子化した経験から、長い歴史を持つ本というメディアに電子書籍やインターネットが与える影響を洞察した著書『本の未来』を出版しています(自身による略歴)。

同時期に呼びかけ人となって設立した青空文庫は、著作権切れや著者の意思から共有の文化財となった作品にだれでもアクセスできる「青空のように開かれたライブラリ」として、電子書籍がようやく一般化しつつある現在ますます重要な存在となっていることはご存知のとおりです。

青空文庫で公開された富田倫生 氏による著書は:

『パソコン創世記』(第一部1985年、第二部1994年)
『本の未来』(1997年)
『短く語る『本の未来』』(1997年、讀賣新聞に連載したコラム)

など。

また2000年代から米国政府(が代弁する映画会社など知財輸出業界)の要求や、国内権利団体の主張で盛んになった著作権保護期間の延長論については、権利と文化発展のバランスの観点から一貫して反対の意見を表明してきたことでも知られています (2004年のパブリックコメント)。50年から70年への期間延長が TPP と抱き合せの「知財ルールのグローバルスタンダードへの統一」として主張される最近に至るまで、講演や執筆などで精力的に活動を続けておられました。

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(講演『青空文庫 800人のボランティアと1万冊の電子書籍』2011年7月)

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(パネルのひとりとして講演した『【thinkTPPIPシンポジウム】日本はTPPをどう交渉すべきか ~「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?』6月29日

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